第七回バレンタイン企画
2012.02.01〜02.14実施




●企画説明

〜バレンタインプチ企画・女子会による企画概要説明〜


ワカ「第7回! 『弦月の仮宿』バレンタインプチ企画、はっじまるわよ〜!」
レックル「第7回? うわぁ、すごいすごい、そんなにやってるんだね、この企画」
ハーブ「あら? いつもだったら、田中君と山川君によるチョコをめぐる戦い、っていう扱いじゃなかったかしら? 今回ちょっと趣向が違うのね」
雪華「第6回を一騎打ちにしたら、あまりに盛り上がりに欠ける結果だったからでしょ」
リム=リル「ああ、あの二人だけにゃあ任せておけないってわけだね。ま、折角の祭なんだ、色んな作品の連中を集めて盛り上がるのも悪くないよ」
キリー「貴様ら、いきなり話が飛びに飛んでいるが、まずは企画の概要を説明するべきではないのか?」
ハナダ「説明するほどの説明がないのじゃないかしら」
シルビア「その意見には賛同するけど、それじゃあ話が進まないわね」
ハーブ「じゃあ私から説明を始めるわね? この企画は、『弦月の仮宿』の作品に登場する男性キャラクターに、このサイトを訪れて下さっている皆さんからチョコレートを送って貰おう! というものです」
リム=リル「来て貰ってる人に対して菓子を要求するのかい? お礼をするんじゃなく?」
シルビア「どこまで強欲なのかしら、ここの管理人。とにかく、このサイトの間抜けな男共に、優しいお客様方からチョコレートを恵んでもらおうという図々しい内容よ」
レックル「参加方法は簡単! サイトTOP絵横にあるリンクからアンケートページに行って、チョコレートをあげたいな、と思う人に投票するだけだよ。1票=チョコ1個って数え方になるんだ」
キリー「投票は一人何回、何人に入れても構わん。期限は2月14日、バレンタイン当日だ。それまでに気が済むだけチョコレートを贈ってやると良い。コメントを入れることも出来るが、入れなくとも構わないぞ」
ハナダ「現在項目に挙げられているのは16名ですが、他にチョコレートを贈りたい男性キャラクターがいる場合、好きなように増やして頂けます。表記は他のキャラクターに従ってください。また、2年4組のクラスメイトやギルド企画など、管理人以外の方が考えたキャラクターの追加はお控えください」
雪華「〆切後は集計・結果発表と併せて、ブログにてSS等の掲載をしようと考えてるみたいね。あの管理人のことだから、ちゃんと約束を守るか怪しいところだけど」
レックル「えっと、説明はこれくらいかな? 分からないことがあったら気軽に質問して下さい!」
キリー「私から一つ質問したいのだが」
ハーブ「なぁに?」
キリー「つい半月前まで騒いでいた人気投票と何が違」
ワカ「はいキリー黙る! あんたね、乙女の一大イベントを台無しにするような発言をしないの!」
キリー「う、それは、済まなかった、のか?」
リム=リル「はーいはい、あたしからも一つ訊いて良いかい?」
シルビア「どうぞ?」
リム=リル「企画頁のことなんだけど、投票経過が丸見えになってるのはどういうわけなんだい?」
全員「……………………」
ハーブ「ホントだ……票数も順位もコメントも見える仕様になってる」
レックル「え? これってつまり、今誰が何個チョコを貰ってるか、お客様にも分かるってことだよね?」
ワカ「気付いたわね、今回の企画の目玉に……」
雪華「目玉? それじゃあ、あえて見える状態にしてあるということなのね。管理人が設定をし忘れたとかじゃなく」
ワカ「そう! だってバレンタインって、『誰がどれだけ貰ってるか』傍目にもかなり分かるじゃない。机の上に置いてあったり、渡してるところを目撃したり。今回はそういう雰囲気を参加者全員で味わおうって魂胆なのよ!」
リム=リル「はっはぁん! 『あいつはもうたくさん貰ってるからあげなくて良いか』とか『あいつが全然貰ってなくて可哀想だ』っていう心理が動くと、票数にどう影響が出てくるかって実験でもあるわけだ」
シルビア「そして『あいつはまだ一個も貰えてない、本当に人気ないんだな』だとかいう可哀想なキャラクターも浮き彫りにするわけね」
ハナダ「晒し者ね」
レックル「そういう意図なの!?」
キリー「これで票が分散するか、それともむしろ特定のキャラクターにばかり集中するか。予想しかねるところだな」
ハーブ「あ、あはは、まぁ要するに、皆さん一緒に途中経過も楽しみましょうってことね」
ワカ「はい説明終わり! じゃあ皆、最後に一人一回ずつ、自作品男性メンバーへのコメントを寄越しなさい! はい古株から!」
ハーブ「わわ私!? うーんと、オイルはたぶんまたお腹空かせてるから……遭難した時のためにもたくさんチョコレートを贈って貰えたら嬉しい、かな」
キリー「ポルクやディーは貰ったところで困るだろうが、ルートは栄養と言う意味で何か食った方がいいだろうな。あと、ゲンゴロウにはチョコではなく味噌かカレーでも贈ってやれ」
雪華「蛍夕には別に入れなくてもいいわ。そういうキャラだし」
ハナダ「トータも虫歯になると困るからあまり甘いものばかり食べさせないようにしてね」
リム=リル「トットはいっくらでも食べられるし喜ぶだろうから、是非たんまり押し付けてやって欲しいね。先生は、チョコより酒の方が嬉しいだろうねぇ」
レックル「ローは……今あの展開で、チョコレートあげる人いるのかなぁ……」
シルビア「アトラス君はあとで五月蠅そうだから、誰か適当に投げてやって頂戴」
ワカ「田中・山川・太助・正和・アルトを応援するコがいないわね。なんか可哀想だから誰か義理チョコでも贈ってやりなさい!」
レックル「それでは、皆さんのご参加お待ちしてまーす!」





●結果

〜第七回バレンタインプチ企画・結果発表会談〜


(第1夜)


太助「はい第七回バレンタイン企画結果発表が始まりますよ、期間は2012年2月1日から14日の間でした、たくさんの御参加アリガトウゴザイマシター」
蛍夕「……ちょ、おい、太助?」
アルト「何か目が据わってるんだけど、ど、どうしたんだ? 大丈夫かよ?」
太助「今回の総獲得チョコ数は57個でした。途中経過丸見えの状態で企画を進行したので結果も何もないですが、ここから順番に発表していこうと思います」
オイル「え? 何々? ねぇ、太助君が怖いよ?」
仲楯「シッ、これ以上つっつくなって。だってほら、今回エントリーした16人のうち……」
太助「なお司会進行は、エントリー男性キャラ16名のうち、唯一チョコレート獲得数ゼロを記録した俺こと浦島太助が承っておりますが誰か文句でもあんのかコンチクショォォォォォ!?」
ゲン「わああっ、太助がキレた!? っつーかキャラ変わってんぞお前!」
ピアニー「それはお主、二週間にわたって誰からも票を投じて貰えない様を全面公開されておったのだから」
ディー『まぁ、自棄にもなるよな』
山川「いっそエントリーされてない方がよっぽどマシだったろうにな」
太助「畜生、何だよこれ完全にネタだろ!? 最早『太助に入れたら空気読めてない』的なノリだろ! 明らかに俺だけ寂しいことになってるのに、義理チョコすら入らないとか!」
ロー「いや単純に、君には誰もチョコレートをあげる気にならなかっただけじゃないのか?」
トータ「作者もそろそろ、『ウラオトギ』を作品一覧から抹消する時期かもと呟いていたことだしね」
アトラス「むしろ入らなかったからこそ、今回いっぱい喋れて良かったんじゃないか? な?」
田中「そーそー、仲楯と蛍夕なんか半端に入っちゃって、たぶんこれ以降出番ないぞ?」
太助「そんな慰めいらねぇよ!」
仲楯&蛍夕「「さりげなく酷くないか?」」
ポルク「太助君の嘆きは分かったからさ、そろそろ本題入らない?」
トット「そうだよ、この結果発表内で取り分を受け取れるんでしょ? 僕もう、お腹ぺこぺこだよ」
太助「くっそ、俺以外の連中は皆一個以上貰えてるからって……」
ルート「では僭越ながら、僕が司会アシスタントを務めさせて頂きますね。今年で第七回を迎えました『弦月の仮宿』バレンタイン企画。今回はあらかじめ男性メインキャラクターが列挙されたアンケートに投票=チョコの贈呈をして貰うという形式で行いました。なお、1票=チョコ1つの換算となります」
太助「はい説明ご苦労さん! じゃあそういうことで、さっさと終わらせるからな、こんな憎たらしい企画発表!」
ピアニー「う、うむ分かった……ところで、先から気になっておったのだが、机上のその箱」
太助「今回貰ったチョコレートだけど?」
オイル「やっぱりそうなんだ!? ちょっとちょっと、そんな、スーパーで貰って来たような『ぽた○た焼きの』段ボールに詰めるとかってどうなの!」
太助「別に何だっていいじゃねぇか。婆さんの知恵袋を馬鹿にしたら泣きを見るんだからな」
ディー『おい、太助がヤサぐれ過ぎてどんどん愉快なキャラになりつつあるぞ』
太助「じゃあこれから順にチョコレートを配給するので、受け取った野郎どもは速やかに退出(フェードアウト)することー」
全員「配給!!?」
太助「第11位! オイル、トット、仲楯、蛍夕、アトラス、以上5名はチョコレート1つずつで、個人宛メッセージは特になし! オラ受け取りやがれええええぇぇぇ!」
仲楯「わああああ、投げるな貴重な俺のチョコレートぉぉぉ!」
蛍夕「痛ェ! まさかの剛速球!?」
トット「わーい、くれた人ありがとーう!」
アトラス「ヘーイ、ピッチャーナイスボール!」
オイル「えええええ、まさかこのノリで全員突き進む気……!?」
太助「こんなこといつまでもやってられるかぁぁぁぁぁ!」


(第2夜)


ディー『おい、早くも五人が追い出されたぞ?』
ロー「これは、下手に彼を刺激しない方が身の為だね」
ルート「ええ、ここは何とか話を膨らませて場を盛り上げないと」
太助「第8位! ディー、ルート、ロー、以上3名はチョコレート2つずつでコメントは特になし、持ってきやがれドロボー!」
三人『「「言った傍から!」」』
太助「ついでに第7位、ポルク! チョコレート3つでやっぱりコメントはない! っつーかディーとポルクはチョコなんか喰えもしない癖に……!」
ポルク「つ、ついでって……ああああ、箱ひしゃげてるひしゃげてる! 食べられなくても気持ちは貰えるってばああ!」
ピアニー「横暴だな」
田中「独壇場だな!」
山川「良いのか、参加してくれた人に対する礼もなしで?」
ゲン「おーいルート、こっそり補足だけしてから退出してくれよ?」
ルート「はいぃ……7位以下は、1人ないし2人のお客様からチョコレートを頂きました。人気投票下位のキャラクターに1個ずつ贈って下さった方もいて、皆さんに平等に行き渡る結果になりましたね」
トータ「ああ、1つも貰えなかった1名を除いてね」
ゲン「シイイイイイィィィィッ!」
太助「さて。非常に残念ながらここからは全員にメッセージが送られてるので、不本意ながら紹介しながら発表を進めるぞ」
田中「なぁ、すごい今更なんだけど、今回の司会者キャラクター、完全にチョイスミスじゃねぇ?」
山川「言うな、管理人も後悔し始めたところっぽいから」
太助「第6位、獲得数4個、トータ=リーグマン。おら、前までとっとと受け取りに来い」
トータ「……ちょっと待った。何故僕に渡される箱の一番上に、煮干しの徳用袋が積載されているんだ?」

★トータへのコメント1:虫歯が気になるというハナダさんのためにも、私は彼に煮干を贈りたいと思います(真顔)

トータ「真顔で明らかな嫌がらせとは良い根性だ……!」
太助「良かったな、健康に気を使ってくれる優しいファンがいて。おっと、トータにはもう一つあるんだった」

★トータへのコメント2:ダークチョコも苦手そうですよね、彼。

トータ「…………」
田中「うわぁ、山川の腹の中並みに黒いチョコだぁ……」
太助「あと5人……5人もいやがる……!」


(第3夜)


山川「随分減ったな、人数が」
ピアニー「どんどん追い出していくこの手法は新しいかもしれぬな」
太助「続いて獲得数5個の第5位が2人。1人目、田中卓也。お前、チョコが貰えないっていうのが基本設定じゃないのか?」
田中「ひゃっほーい、チョコだチョコだチョコだあああぁぁぁ! みんなちゃんと分かってるぅ、俺の魅力に気付いてるっ! さあ太助、羨みながらチョコレートを俺に寄越すが良い!」

★田中へのコメント1:田中くんにはやっぱりサラダ煎餅を(←

田中「…………(ばりっ)」
ゲン「なんだよ、サラダ煎餅って?」
山川「以前『巣立ちの歌』の替え歌ネタでサラダ煎餅が登場したから、その関係だろうな」
田中「ふ、ふふふふーんだ! でも5個中の1個だもんね! 残りはきっと、心のこもった甘〜いチョコレートだもんね!」

★田中へのコメント2:田中君に投チョコです。ちなみにこのチョコ、勇者の資質のない人には見えないんですって(ニコッ)

田中「…………!(滝汗)」
ピアニー「む、私には見えるな」
山川「あー、俺も見えるかも」
ゲン「オレもオレも」
田中「!? おおおおお、俺だって俺だって俺だってぇぇぇ!?」
太助「で、もう1人の第5位なんだけど……どこ行った?」
ゲン「そう言えば、発表一日目のごく序盤で一言喋って以来一度も出て来てないような」
ピアニー「ああ、あやつならば先ほど来客があったとかで、表へ出て行きおったぞ?」
太助「表ぇ?」

 ***

アルト「二人とも急にどうしたんだよ? お前らがココ来るとロクなことが起きねぇ気がするんだけど」
ヤマト「おー、言い草だなぁアルト君よ。折角人が遠路はるばるお前の為に足を運んで来たってのに」
アルト「俺の為?」

★アルトへのコメント1:「腰痛持ちのばーさんから渡してくれって頼まれた。はい、これ(梅干しの瓶)。良かったなアルト、モテモテじゃん」byヤマト

アルト「……ありがとよ(ズッシリ)」
ヤマト「どーいたしまして? じゃな、俺は先にギルド帰ってるぜ」
アルト「あ、ああ。って、待て待て、リアはどうすんだよ、一緒に帰らねぇの? おーい、ヤマトー!」
リア「御心配には及びません、渡すものだけ渡したら私も早々に立ち去りますので」
アルト「渡すもの? ……これ、チョコレートか? え、これお前から?」

★アルトへのコメント2:「人に頼まれて持ってきただけです。勘違いしないでください」byリア

アルト「あ、ああ、そっか……わざわざありがとな。でも、じゃあ、これ一体誰からだよ?」
リア「何故私が貴方にそんなことを教えなければならないのですか」
アルト「いやフツー教えるだろ。むしろ教えて貰えない意味が分からねぇ」
リア「…………」
アルト「…………?」
リア「目標固定化します!」
アルト「は……!?」

 ***

ゲン「あー、見事に固められたな」
山川「そして相手は逃げるように去っていったな」
ピアニー「まぁ、なんだ。青いな」
太助「おい、田中」
田中「おうともさ?」
太助「あいつの顔面にこのコメント付きチョコレートぶっつけてこい」
田中「任せとけ☆」

★アルトへのコメント3:いつも頑張っている貴方に。……お母さん、ありがとう。

アルト「母の日!?」


(最終夜)


太助「ようやくここまで来たか……残すところは3人だな」
ピアニー「何故生き残り戦のようになっておるのだ」
ゲン「いやもう、逆らわないようにしておこうぜ、ホント」
太助「第3位・獲得数7個、山川健悟。期間中色々あったが、最終的にはこの数に落ち着いたか」

★山川へのコメント:せっかくのなので、チョコレートタワーにもう一つ加えて下さい

山川「え、これもうジェ○ガ状態なんだけど。これ以上積んだら崩れそうっつーか」
太助「……田中、田中もう一仕事だ! 崩して来いあんな罪業の塔は! 他の誰でも良いから!」
ゲン「田中だったらもうフェードアウトしてるぜ? 他の連中も、そういうノリのやつはもう残ってねぇぞ」
ピアニー「お主が強制的に追い出したのであろうに、太助」
太助「ぐっ、ここにきて仇になった!? ……ああもう、やってられるかこんな仕事! 何で俺だけこんな目に遭うんだよ、俺だってチョコ欲しかったっつーの!」
ピアニー「まぁそう嘆くでない。ほれ太助、気を取り直して次の発表をしてみるがよい」
太助「くっそぅ……第2位・獲得数10個、ゲン、って……」

★ゲンへのコメント:チョコどころかチョコケーキあげたい勢いです。というか、むしろ作ってもらいたいv(ゑ)

ゲン「ご要望にお応えして、じゃーん、ゲン兄貴特性チョコレートケーキだぞ! お疲れさん太助、お前にはでっかく取り分けてやるよ!」
太助「……!」
ゲン「健悟も手伝ってくれたんだぜ、これ。どうだ、美味いだろ?」
太助「……うめぇ」
ピアニー「何、人の価値は贈り物の数では決まらぬよ。しょげることはないさ」
太助「……うん(ずびっ) あ、そうだ、まだ第1位の発表をしてなかったな」
ピアニー「うむ、どうやら最後に残されたのは私のようだな」
太助「第1位・獲得数12個。スメルト=ピアニー!」

★ピアニーへのコメント1:師匠に投チョコ一つ!

ピアニー「たくさんの御参加、贈り物、本当に感謝する。皆を代表して私からお礼申し上げよう。これからも『弦月の仮宿』をどうぞ宜しく頼むぞ」
太助「以上、第7回・『弦月の仮宿』バレンタイン企画結果発表でした! あるかないかも分からない、次回バレンタイン企画をお楽しみに!」


・最終結果まとめ・

 1位(12個)……ピアニー
 2位(10個)……ゲン
 3位( 7個)……山川健悟
 4位( 5個)……田中卓也・アルト
 6位( 4個)……トータ
 7位( 3個)……ポルク
 8位( 2個)……ディー・ルート・ロー
11位( 1個)……オイル・トット・仲楯正和・蛍夕・アトラス
16位( 0個)……浦島太助


ピアニー「む? もう一つだけ便りが残されておるではないか。何々……」

★ピアニーへのコメント2:いつかの林檎のように、トット君にチョコを食べられないようにお気をつけ下さい。

ピアニー「…………はっ!?」
トット「(もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ)」
ピアニー「トットお主いいいぃぃぃっ!」





●第一位キャラクターSS


 焼菓子と仮面の詠嘆曲<アリア>



 私が生まれたのは、古い慣習でがんじがらめになった北の小さな村でした。狭い里の中にはいくつもの深い碧の沼が点在していて、近隣諸国からは、沼の意味を持つ名で呼ばれていたようです。
 ある時、それらの沼の一つが一夜にして獣の血のように紅く染まるという出来事がありました。その沼に棲まう魚も、畔に育つ葦も、ついには誤ってその水を口にした村人も、全身に紅い斑点を浮き上がらせ死んでしまったものですから、当時の私たちの不安といったら例えようもありません。
 古い古い国でした。村の人たちは皆、沼には神か悪鬼か、とにかく得体のしれない恐ろしいものが棲みついたのだと口を揃えました。その怒りを収める為に生贄を差し出すというのも、今になって考えれば錆びついた愚かな考えなのですが、あの時は私もその行為自体に疑問は抱きませんでした。
 それでも、私もやはり人の子です。若く美しい娘という名目で、十九の私が重しを付けられ沼に沈められると知った時には随分と嫌がりました。いえ、嫌がるなどという可愛らしいものではありませんね。散々に泣き叫び、喚き暴れましたが、両親がすでに亡くなっていた私を庇ってくれる村人もなく、私は紅い沼の縁まで引き摺られていったのです。
 そこに現れたのが貴方でした。鋭い怒りの光を湛えつつも、どこか寂しそうな瞳の色が、今でも私の頭に焼きついています。
 旅の途中だと言っていたでしょうか。まだ歳若いでしょうに、すっかり興奮して目を血走らせた村人たちの中にたった一人で乗り込んで、貴方は強い言葉で罵りました。こんな愚挙は即刻止めろと。私を解放しろと。
 あの時この目で見たものはこれほど鮮明に覚えているというのに、情けない話、貴方が何と言って村人たちの口を閉じさせたのだかは朧気にしか記憶していないのです。ただ、貴方があの紅い水に手を入れ、沼が眩く光り輝いたと思ったら、元通りの碧い水に戻っていた光景は忘れられません。あの村の人たちの驚きと怯えの顔も、貴方の歯痒そうな顔も。
 ただ一つ確かなこと。私は貴方に命を救われました。
 貴方はあの後すぐ、貴方に恐れをなした村の人たちに追い出されるようにして村を発ちました。冷たい雨の降る日で、私を助けようなどと思わなければ、せめて雨が止むまでは「ただの旅人」として逗留出来たのでしょうに。
 紅い水も、貴方の光る手も、あれら全てが「歪み」という現象だと私が知ったのは、あれから随分経ってのこと。あの村から逃げ出した私が親切な行商人に助けて頂き、この国に辿り着いてどうにか暮らしていける様になってからのことでした。
 あれから四年の歳月が流れました。
 この国の、一日限りの祭のこの夜、四年を隔てて再開した貴方は、あの時と変わらぬ銀の髪と、藍と紫の目を、焚火の光に輝かせています。ただ、この国を訪れた貴方の傍らには大輪の花のように笑う少年がいて、貴方の目も優しく、楽しそうに笑っていました。
 私は今、女性だけがつける祭の仮面で顔を隠し、貴方の傍に立っています。貴方の連れの少年は、焚火を背景に繰り広げられる舞の輪の中に巧みに混ざり、喝采を浴びています。祭の輪から少し離れた場所で丸太に腰かけた貴方は、少年の笑顔を遠目に眺めながら幸せそうにお酒を飲んでいます。
 非常に困ったことに、私の足も手も、つい数刻前、人込みの中に貴方を見つけてからと言うもの、小さく震えて止まりません。大きな葉でくるんだ菓子を支える両手も、こうしているうちにすっかり冷えて固まってしまいました。
 この国にも、あの村のような古い慣習が、一つ、残っています。
 祭の夜、年頃の女は自分で作った菓子を、年頃の男を一人だけ選んで贈ります。仮面を被った女が誰であるかを男が当て、その菓子を口にしたら、女は男の花嫁となれる。そんな、他の土地から見たら笑ってしまうような慣習です。
 私は今、女性だけがつける祭の仮面で顔を隠し、貴方の傍に立っています。大きな葉でくるんだ菓子を支える両手も、こうしているうちにすっかり冷えて固まってしまいました。
 随分長い時間が経ったと感じたのは、私だけだったのでしょう。貴方はとうとう私に気が付いて、目を瞬かせました。意を決した私は貴方に歩み寄って、包みを開いて菓子を差し出しました。
「いかがですか」
 声が掠れたせいでしょうか、震えたせいでしょうか。私が挙動不審だったのでしょうか。貴方は不思議そうに目を開きましたが、やがて「ありがとう」と微笑んで菓子を取りました。
「ああ、これは美味いな」
 頬張って顔を綻ばせる貴方に、私は心臓が撥ねあがるかと思いました。いえ、きっと実際に撥ねあがったのでしょう。けれど一緒に、私の胸には一つの気掛かりが浮かびました。すう、と息を吸ってから、私は貴方に尋ねます。
「この国の慣習はご存知でしょうか」
 貴方は仮面越しに私の顔を見つめました。やがて半分残った菓子に視線を落とします。
「いや、知らぬな」
 そう答えながら、貴方は、それ以上何も喋ろうとしない私に、その「慣習」の何たるかを教わろうとはしませんでした。実のところ、私は、私がいかに身の程知らずな振舞いをしているのか分かっていながら、貴方の言葉に涙が出そうになってしまって、声など出せる状態ではなかったのです。
 祭囃子の中に、菓子を左手に持った貴方と、唇を噛んで立ち尽くす私は無言です。やがて貴方は、ぽつりと私に訊きました。
「お主、ヴェールマレにおったのではないか?」
 懐かしいあの村の呼び名に、私は今度は、心臓が停まってしまったかと思いました。喉が詰まって、答えることなど出来るはずもない私を差し置き、篝火を見据え、貴方は続けます。
「お主の声に聞き覚えがあるよ。あの村を去る時、雨が降っておったが、誰かが私の背に向けて何事か叫んでおった。それが必死で、優しい声だったから、まだ耳に残っておる」
 私はあの時、何を叫んだのだったでしょうか。冷え冷えとした村の外へ消えて行く貴方に、礼だったのか、謝罪だったのか。もう自分ですら忘れてしまったというのに。
 貴方はその私の声を、四年が経った今でも覚えていてくれるというのでしょうか。
 今までとは違う涙が溢れそうになりました。私は嗚咽を噛み殺します。出来うる限り、それと分からないように、私は答えます。
「いいえ。違います」
 貴方は、あの時とは違う優しい目で私を見ました。やがて顔を背けて、「そうか」と優しく呟きました。
 半分だけ残った菓子を口に押し込んで、もう一度、いえ、今度は明確な意思を持って、貴方は言ってくれました。
「美味い菓子だ。この国でならばきっと、良い花嫁になれる」
 貴方は分かっているのでしょう。私も分かっていたのでしょう。貴方がこの国に留まることはないことを。
 大きく頭を下げて、消えるような声で「ありがとうございます」と囁き踵を返す私に、貴方の声が届きます。
「幸せに」
 明日には旅立つ優しい貴方に、私も心から祈ります。
 貴方こそ、どうか幸せに。



 Fin.





 たくさんのご参加ありがとうございました!





●おまけ 「田中君と山川君」バレンタイン特別編


*「バレンタインのそもそもの本質について考えてみよう!」


「『もしも世界が100人の村だったら』!」
「ん? ああ、昔流行ったな、そんな本」
「山川にチョコをくれた女の子の人数は、世界人口70億2103万6千人(2012年2月14日現在)分のたかだか3ケタ=1人分にも満たない! 世界が100人の村だったら俺と山川は同レベル! 同じモテレベル!!」
「その数式使ったら世界人類皆同レベルだろうが。よくもまぁ、それだけの為にデータまで引っ張り出してきたな、田中」
「うっせぇぇぇこのモテキング! 朝っぱらから机上のチョコレートタワー建造現場を見せつけられて、御託の一つも並べずにいられようかいやいられない! そのタワーの高さ即ち山川の罪業の深さ、神の怒りに触れて山川なんか分割払いになれば良い!」
「人間を分割払いするイメージがいまいち湧かないんだが、どういう状況か説明頼めるか」
「人と目を合わせてから喋りやがれぇぇぇ! さっきからタワーに隠れて顔も見えてないっつーの、天井まで届かせる気かお前は!?」
「あー、くそ、宅配便の段ボール箱4,5枚持ってくりゃ良かったな……そうすれば家に直送出来たのに」
「山川のバーカ! 山川のバーカ! 山川のヴァアアアアカ! 後で悔やんでも遅いんだからな、モテ男撲滅委員会が今年もフィーバーしてやるんだからな!」
「ハイハイ、俺が悪かったよ悪くないけど。そもそも、どうしてバレンタインってチョコレートを贈りまくるんだったっけ」
「贈られまくってんのはごく一部なんですけどね山川君? つーか、え、お前たった一人で世界のチョコレート大博覧会開催しておいて、今更そういうこと訊く?」
「チョコレート会社の戦略は知ってるが、このイベントの本来の目的は何かって話だよ」
「へ? ……女性が好きな男性に想いを伝えるイベント、もしくは、日頃の感謝を伝えるイベント?」
「俺の認識も大体そんなところだ。で、訊くが田中。チョコ入りの箱を10メートル前方を歩く男の後頭部にクリーンヒットさせて、伝わる想いって何だよ?」
「殺意だな」
「だよな」
「つまり山川が言いたいのはアレか? 『バレンタインとは女性が男性をある意味狙い撃ちにするイベントである』」
「かなり齟齬があるが、間違ってない気もするな」
「ちなみに俺の認識の一つとして、『世界のモテ男とモテない男を大別し、モテない男に殺意を抱かせるイベント』でもある」
「よし田中、以上をまとめると?」
「『バレンタインとは一瞬先は闇のサバイバルバトルイベントである』」
「その上で、今の俺はどう見える?」
「『軍神』」
「羨ましいか?」
「全然」
「よし、じゃあそういうことで、今年からモテ男撲滅委員会も自粛だな」
「おう…………あれ?」








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